Camera FiltersはShade 3Dのレンダリング結果に適用するフラグメントシェーダー群で,現実のカメラで起こる現象,カメラの現像工程を模擬する機能を提供します.
Camera Filtersはft-labさん製作のScreen Effectsプラグイン向けのシェーダーです.事前にScreen Effectsをインストールしてください.
インストールのときは,必要なglslファイルをplugins/ScreenEffects/
以下にコピーしてください.アンインストールは同ファイルを削除です.
他のScreen Effectsシェーダーと同様に,「リストボックス」からシェーダーを選択して「追加」で追加します.
標準的な使い方では,図1および表1に示すように,7つのシェーダーをそれぞれ適用します.
各シェーダーは適用順序が決まっています.始めにレンズや絞りなどの光学系に由来する効果,次にフィルムに由来する効果をかけ,現像処理の効果を最後に適用します.表にはその順序も示してありますので,1番から順に使用するようにしてください.
1 | diffracction_*.glsl | 光学系 |
2 | vignetting.glsl | |
3 | thermal_noise.glsl | フィルム系 |
4 | auto_exposure.glsl | 現像系 |
5 | while_balance_*K.glsl | |
6 | exposure_tonemapping.glsl | |
7 | gamma_correction.glsl |
ガンマ補正以外のフィルタのうち必要でないものは,使用しなくても問題ありません.
回折光シェーダーは,小絞りボケとして知られる回折光の効果をシミュレートします.絞りの形状によっていくつかの種類があります.
絞りのF値は,カメラの焦点スライダ値に連動し,F = 72 * f * f / c(f: カメラの焦点距離(m),c: 焦点スライダ値)で計算されます.ただし,F値は512が上限です.
ガウスカーネルです.シンプルで安定なフィルタですが広範囲にぼけます.あまり使う機会はないかもしれません.
円形の開口です.カメラでは絞りを開くと開口が円に近づきます.指向性のない均等な小絞りボケをつくります.
六角形の開口です.6枚羽根の絞りはビデオカメラに多く採用されているようです.テレビで太陽が映ったときに6本の特徴的な光のすじが見えることがありますが,その原因となっている開口形状です.
一眼レフカメラの絞りに多い気がします(ちゃんと調べていないので解りません).六角の場合と同様に光条を作りますが,辺の数が奇数だと鋭い光になりにくいため,六角と比べてマイルドです.
人間の目を少し細めてみたときのまつげと瞳孔に由来する回折をシミュレートします.フォトリアルとはあまり関係がありませんでしたが,とりあえず実装してみた機能です.
スリットです.スリットを通ると光は回折するという単純な原理を確認して納得する用で,実用的なカメラとは関係がありません.
周辺光量落ちシェーダーは写真において周辺が中央に比べて暗く写る周辺光量落ち効果をシミュレートします.
一般に周辺光量落ちは好ましくない効果であり,現像時に補正によって目立たなく加工するのが普通です.演出上の目的でわざと周辺光量落ちを残したまま現像する場合を除いて,最近の写真ではあまり見かけない効果です.
熱ノイズシェーダーは,高ISO値,長時間露光時に顕著に表れる高感度ノイズの効果をシミュレートします.
ちなみに,内部で乱数を使用していますが,同じ画像サイズに対しては同じ乱数が出るようになっているので,動画に使ってもチラつきは出ないと思います.チラつかせたいという需要はあるのでしょうか.
ISOカメラのISO値を与えます(初期値は100です).
t (s)カメラの露光時間を与えます(単位は秒,初期値は0.01です).
自動露出補正シェーダーは,写真に適正な明るさになるように調節するシェーダーです.
シェーダー内部では,画像のなかの9点で測光を行って平均値輝度を推定しています.画面の一部が強烈に明るかったりすると自動露出補正が上手く働かない場合があるところも,現実のカメラと同じです.
EV+カメラの露出補正と同等で±1でそれぞれ一段明るく,または暗くなります.
Auto Exposureチェックを外すと自動補正はせず,EV+だけが有効になります.マニュアルで明るさを調整したい場合はそうしてください.
色温度変換シェーダーは,写真のホワイトバランスを設定します.
ホワイトバランスは写真の仕上がりを暖色系または寒色系に寄せる色変換フィルタです.写真における色温度変換の役割は概ね以下の通りです.
ホワイトバランスを2700Kに設定します.白熱電球に近い色温度です.
ホワイトバランスを3200Kに設定します.ハロゲン灯に近い色温度です.
ホワイトバランスを5200Kに設定します.日中の直射日光に近い色温度です.
ホワイトバランスを6500Kに設定します.sRGBの規準となる色温度です.このフィルタは何も色温度を変更しないフィルタです.
ホワイトバランスを7000Kに設定します.曇天の天空光に近い色温度です.
写真の白飛びを回避して階調をマイルドにするのに使います.現像のテクニックの一種なので,カメラメーカーによってそれぞれ独自のトーンマッピングがあり,正解はありません.結果が気に入らなければ,適用しなくてもよいフィルターです.
ガンマ補正を適用します.