星を見に行きたいと思ったコラム
天体観察について「山奥に行けば綺麗な星空が見える」とか,「都会では満点の星空が見えない」とかいう「場所」の要因について気にされる方は多いのですが,実際のところ星が十分に見えないのは「人」の要因もかなり影響していると私は思います.
これは,目の暗順応の話です.人間の目は明るい環境にはすぐに順応しますが,暗い環境には1時間程度をかけて徐々に順応すると言われています.都市にいてふと空を見上げても星が殆ど見えないのは,街灯りが明るすぎて私たちの目が星明かりの明るさまで順応しきらないためです.
これは,郊外までわざわざ星を見に行っても同じで,車から出てすぐに空を見上げても十分な星空を楽しむことはおそらくできません.その場で明かりも付けず,暗闇で暇をつぶしていてふと見上げたときの空こそ私たちが見たかった満点の星空なのではないでしょうか.
現代っ子の僕にとって,1時間ものあいだ夜景を楽しむでも,スマホを見るでもなくただ暗闇に佇むのは苦痛かもしれません.しかし,そこまでする精神的,時間的余裕を持たなければ,きっと自分の見たい物は見えないのだろうと思います.
私たちが本当になくしたものは,星が見える場所ではなく,星を見る時間なのだと思います.
投稿者 | CASPAR003 |
投稿時刻 | 13:31 |
カテゴリー | 雑記 |
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記事へのリンク | http://www.caspar003.info/delta/archive/2016/08/16/1331.html |
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